▲野上電鉄デ13 野上中-北山 1990-8
沿線風景は至って平凡な野上電車。
「一度行けば充分」という向きもあろうかと思いますが、名鉄揖斐・谷汲線や片上鉄道と並んでしつこく訪れた管理人。骨董品級の電車がごく普通に動いていたことに加え、創業期から続いているであろう古い駅や施設との競演が通い詰める原動力となりました。
1990年夏のこと、この日は海南駅近くの安宿に投宿後、駅前からタクシーを奮発して重根(しこね)駅近くへ向かいます。朝夕しかない2連を少しでも多く捕まえようと始発列車から狙うためでした。
▲幡川-重根 1990-8
さて、日の出と共にやって来た始発列車は最古参のモハ23+27、幸先良いスタートです。
▲いずれも幡川-重根 1990-8
左右に住宅地が迫る沿線にあって、この区間は数少ない開けた区間でした。
続いてモハ24+26、31+32コンビが立て続けにやって来て、まさにゴールデンタイムです。
毎回検査や昼寝中の姿しか拝めず、巡り合わせの悪かった24の力行姿にもやっと会えました。
アングルが限られる中では同じような画しかできず、少し退いてみますが今一つ。
旧阪神31の巨大広告がちょっと残念です。
車高が低く屋根が深い、鈍重な印象のモハ23は最も好きなデンシャの一つです。
ルーツは阪急1形(箕面有馬電気鉄道1形)ながら度重なる改造で原型の面影は消失、唯一無二の風体になりました。
この翌年当たりから一線を退いてしまい、廃線の日まで殆ど走ることはありませんでした。
重根でタブレット交換。
日中用のデ10が出動を始めました。続いてはこれも数少ない「引き」のある区間、北山駅近く。
カーペットのような刈入れ間近な田圃をメインに据え、午前最後の2連を捕まえました。
北山駅。
ほぼ各駅共通意匠の可愛らしい駅舎がありました。ここから夕方までは2両のデ10形が行ったり来たりになります。
2連が動き出すまでの退屈な時間帯は、日方に佇むデンシャに入り込んで古風な車内を堪能するのが常。一声掛ければ自由に構内を動き回れる時代でした。
▲いずれも日方 1990-8
そして陽が傾く頃、再び北山へ舞い戻って来ました。
ひぐらしの声を聴きながら何本かをやり過ごすうちに、闇が迫って来ました。
▲いずれも野上中 1990-8
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