▲神戸電鉄デ5 丸山-鵯越 1963-2
「新性能車ばかり」と長く敬遠してきた神戸電鉄ですが、その昔は無骨な古典デンシャの楽園でした。長い空白期間がやっと埋まったのは昨秋、デ1300形の復刻塗装車を記録しておこうと思い立った時でした
( →→ こちら )。
という訳で、今回は手元にある古い記録からこちらをアップしてみます。
いずれも新開地から三つ目の丸山駅でのスナップですが、図らずも昨年の訪問時に同じ位置で撮っていました。
こちらは冒頭・3枚目及び5枚目とほぼ同じ、鵯越方からのカット。
当時はまさに何もない山の中といった雰囲気で、地形が現在とずいぶん違います。ホームの配置や長さも変わっているように見えます。
▲全く同じ位置に立つのは無理でした 丸山-鵯越 2021-9
まずは神戸有馬電気鉄道が開業時に導入した、デ1形です。
昭和初期に日本車輌が各社に供給した標準設計車で、管理人が触れただけでも一畑デハ1・20形、上田モハ5250形、熊本モハ300形・・・と平成初期まで長くその姿を見ることができました。デ1形は1960年代前半に全車が800形へ更新され、最後の吊り掛け車として93年まで活躍しています。
デ1形の増備車、デ101形。
台車がゴツイ板台枠から釣合い梁のD16に変わった以外はデ1形とほぼ同じです。
10両の仲間が廃車されたりデ800形へ再生されたりする中、ただ1両入換車として余生を送っていた101号は、クラウドファンディングによる資金調達が奏功してスクラップを免れ、走行はできないものの再整備のうえ保管されています。
こちらは新塗装のデ103+101。
この頃はちょうど窓回り淡緑色・それ以外グレーの新装束に変更される過渡期にあったようです。窓回り部分はこの後お馴染みのオレンジになりました。
▲いずれも丸山 1963-2
上のカットと同地点、上りホーム新開地方の現在。木々が伸び地形も変貌しています。
▲いずれも丸山 2021-9
戦後の車両不足を解消すべく登場した省規格型のデ201形。
こちらは更新されることのないまま、3000系に追われる形で1974年までに全車が引退しています。
デ201形の後輩格、211形。
同じ省規格型ながら、201形と随分と印象が違います。正面のフラット化や貫通扉の設置、アンチクライマがなくなった以外は201形とほぼ同じ仕様です。
デビュー間もない頃の300系。
湘南顔に18m級全鋼車体、WNドライブとまさに当時のエースでした。新性能車の基本となった300系の設計思想は、この後登場する1000系列にも引き継がれていきます。
こちらは遠く神中鉄道からやって来たクハ131形です。
旧相模・神中のガソリン車やディーゼル車は使い勝手が良かったようで、大挙して嫁いだ上田丸子電鉄を始め、日立電鉄や豊橋鉄道、新潟交通などでも第二の職を得ました。
今も関西各社には昭和デンシャが多く残り、長く続いた中小ローカル偏重時代の雪辱を少しでも晴らすべく、この1年は何度か通いました。しかし南海6000系や阪神青胴など確実に先の見えてきたデンシャも少なくなく、あと何度かは出向きたいところです。
▲鵯越-鈴蘭台 2021-9