2021年12月12日

1981年北陸行 その3





▲加悦鉄道キハ51 加悦 1981-8

さて、北鉄の初訪問が終わったと思いきや、次のコマにはいきなり加悦鉄道が写っています。移動途中の車内やら食べたものやらを惜しげもなく撮れる昨今と違い、こうした旅の移ろいの部分をマメに記録できないところがフィルム時代の難点でした。

一体どこで夜を明かしたのか、忘却の彼方。
この小まめにメモを取らない生来のズボラさには、後悔すること数知れず・・・でしたが、もしやと資料の山を色々ひっくり返してみると、果たして下の方から変色した手書きの紙片が出てきました。

▲ハ21 1981-8

この日は小松線を撮り終えると、夕闇迫る小松から客レに乗車、終点の福井で時間潰しをしたようです。福井から20:34発の上野行「越前」に乗って0:03着の糸魚川で下車、ここで30分待つと今度は大阪行の「きたぐに」がやって来ます。これに乗ると5:22に敦賀着、めでたく一夜を過ごすことができました。

自由度が高いワイド周遊券ならではの所業、今やれと言われても到底できない「夜行列車折り返しワザ」でありました。

▲末期は独特の様式だった

さて、早朝の敦賀から今度は小浜線に乗車、一路丹後山田(現:与謝野)を目指しますが目的はこちら、加悦鉄道。終点の加悦には洋館のような駅舎と共に、歴史的なデンシャ達が保存されています。

「静態保存車には興味なし」の向きもあるでしょうし、管理人もまたその傾向ですが、ここだけは別格。野晒しなのに全身サビとツギハギだらけの痛々しい姿ではなく、現役時代さながらに整備され、何より木造客車がごく自然体で鎮座しているところが最大の魅力でした。

▲いずれも加悦 1981-8

メンバーは古株の機関車・客車18両に国鉄から借り入れた蒸機も含め、総勢20両。

先ずは現役世代のキハからです。
片ボギーのキハ101は1936年製の自社発注車で、遅くまでガソリンカーのままでした。国鉄からキハ08が入線してくると隠居生活になりますが、一応休車扱いになっています。


旧芸備鉄道のキハ51は1962年に国鉄→船木鉄道を経てやって来ました。
こちらもキハ08と新入りのキハ10に追われ、完全な予備車になっています。

国鉄オハ62がDCに化けたキハ083。
これが動くところを見るのが目的の一つでしたが、残念ながら本日はお休みのようです。
▲いずれも加悦 1981-8

続いては1970年頃まで活躍していた木造客車。
どれも静態保存ながら小さな車止が付いている程度で、「置物感」がなく現役のようです。

ハブ3は1889年、ドイツはバンデルチーベン製という代物で、本来なら博物館入りクラスでしょう。尤も改造に次ぐ改造で、オリジナルの片鱗はほとんど残っていませんでした。

讃岐鉄道→山陽鉄道→鉄道院→伊賀鉄道(初代)と変転、当線では客レ時代末期までDBに牽かれて普通に動いていました。

元国鉄マッチ箱のハ4995は、1893年新橋工場製。
1935年に一旦車体を載せ替えられ、ダルマさんになったこの車体は長い間車庫の片隅で荒れるがままに任せていました。しかしその後整備されて奇跡の復活、社員らの職人技を総動員して明治の姿に復元しています。
ハ21は上の4995の兄弟車で、こちらは新製車体に載せ替えられた姿。
一際小さいハブ2は伊賀鉄道(初代)OBで、木造車としては新しい1926年製です。


加悦オリジナルメンバーのハ10。
2・3等合造車として設計されており、開業に当たりどこかの注文流れを調達したのでは・・・と言われています。珍しいトラスロッドが付けられています。

▲いずれも加悦 1981-8

ホームの隅には倉庫代わりの2両が据え置かれていました。
何れも車番は判読できませんでしたが、モニタ屋根の方は形状からしてハブ6でしょうか。


仮台車に載せられたままのこちらは、恐らくハ20。
上のハ4995復活の際に、不要となった旧車体でしょう。
▲いずれも加悦 1981-8

・・・とここで枚数を稼いでしまいました。
しつこくまだ続きます。
▲加悦 1981-8

4 件のコメント:

  1. 夜行列車折り返し車中泊…北海道ワイドではよく利用しましたが、
    北陸で使う人は珍しいと思います(笑)。

    加悦鉄道は関西在住の鉄ちゃんにとっては
    別府鉄道に次ぐ「聖地」。
    キハ10を購入した1980年前後は
    まだキハ51やキハ101が団体臨で稼働していました。
    定期運用はキハ08でしたが、
    それでも当時は日本でここだけのレア感がありました。

    加悦駅の静態保存車両、私も馬鹿にしてちゃんと撮影していないのですが
    今回の写真を拝見して後悔(反省)してます。

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  2. にぶろくさん

    加悦は関東からは行きにくい立地にあり今回は強引に訪問しましたが、やはり最初で最後になりました。たぶん08は動いていないだろうなあと思ったら当たりで、沿線撮影はやめて木造客車観察に徹しました。あと1年早ければ08は勿論キハ51や101にも間に合ったんですね~今だったら万難を排して駆けつけるところですが。

    夜行列車折り返し、とにかく1泊浮くので、北海道は勿論のことワイド周遊券では必ず活用していました。フリー区間が短いと折り返し時間も長く、凍え死にそうになりながら待合室にいたのもオゾマシイ思い出です(笑)。

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  3. 私も凍え死にそうな思い出はたくさんあります(笑)。
    だいたい無人駅での宿泊でした。
    たとえ旧客の堅い座席でも車中泊の方がマシでしたね。

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  4. にぶろくさん

    無人駅での「駅寝」は諸条件きつく、軟弱な私は挑戦できませんでした。
    寒い・暗い・怖い・翌朝通学生に変死体扱いされる・・・などです。
    夜行折り返しだと一応有人駅で待てるので、不審者に見られはしますが我慢できました。
    今なら近くにスーパー銭湯かネットカフェがある駅で折り返します(笑)。

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