▲阪堺電気軌道モ162 船尾-浜寺駅前 2023-1
さて、まだ陽も高いうちからごヒイキの南海電車を放擲して向かったのはこちら、萩ノ茶屋駅から延々と続く商店街。下町の空気感に満ちた、いわゆる昭和レトロ商店街なら関東にもいくらでもありそうですが、こちらは規模も流れる空気もケタ違いです。
いつ終わるのかと心配するほど長い路地に雑多な店がひしめき合い、そこから怪しげな飲み屋街や遊郭街が一つの道で繋がる。メイン通りから毛細管のように、ひどく狭隘な生活道路が無数に延びる。こうした異空間ぶりが、独特の匂いというか風情を醸し出しているのでしょう。
▲山王市場通商店街 2023-1
駅を降りると右手に萩之茶屋商店街、左手に鶴見橋商店街が延びています。
どちらから回るか迷いますが、先ずは「怪しい度」が低そうな鶴見橋から。こちらは明るく活気もあると思いきや、端まで来るとシャッターが目立つようになりました。
▲いずれも鶴見橋商店街 2023-1
駅前まで一旦戻り、次は萩之茶屋・今池・飛田本通商店街です。
こちらはあいりん地区に近いせいか、鶴見橋とは打って変わって「怪しい度」が急上昇。カメラを懐に隠し、素早く撮っては素早く仕舞う、これの繰り返しになりました。
すれ違う怪し気なおっちゃんに一瞥されながら、めげずに見て回ります。
おっちゃんも親子連れも飲み屋のお姐さんも、同じ空気を吸いながら同じ通りを歩く。枝分かれする生活道路にはウナギの寝床のような長屋が居並び、背後には巨大マンションが屹立する。すぐ近くは遊郭街の飛田新地・・・全てが渾然一体となった、不思議な空間でした。
▲今池商店街
▲いずれも飛田本通商店街 2023-1
▲飛田新地 2023-1
途中、飛田本通から枝分かれする新堺筋商店街は入口からいきなり薄暗く、飲み屋がひしめくその合間に商店が佇むような印象。圧倒されたのは2枚目の雑貨屋、しかしこちらはもう営業していないようでした。
同じく飛田本通から枝分かれする山王市場通商店街も暗くて狭い。
ただこちらは飛田新地からちょっと離れているせいか、新堺筋のような怪しげな飲み屋は少なく「生活密着型」のように見えました。
かれこれ3時間も徘徊しているうちに外界は薄暗くなり、危ない時間帯に差し掛かってきたので、隣接する動物園前商店街を抜けてそのまま引き揚げることにしました。
▲いずれも新堺筋商店街 2023-1
▲いずれも山王市場通商店街 2023-1
さて地下鉄の動物園前駅まで辿り着き、隣の阪堺電車は如何にと覗いてビックリ。
壁という壁、シャッターやロッカーまでグロテスクな落書きで埋め尽くされています。夜更けに忍び込んで短時間でこれだけの所業とは・・・と妙なところで感心していたら、実はこれ、「ホーム美装化」の一環として会社側が地元アーティスト(これがアートと呼べるかどうかは別として)に描かせたらしい。
色使いだけを見ると確かに明るくなったのでしょうが、こうした好悪の分かれそうなモノを公共の場に持ち込むのは如何なものでしょうか。少なくとも、管理人は見ていて気持ちが悪くなってきますが。
▲新今宮駅前 2023-1
▲こちらは10ヶ月前。確かに明るくはなったが・・・ 2022-3
最後の最後で何とも暗然たる面持ちになりましたが、空腹を満たすことでウサを晴らすことにしました。昨晩はコンビニ飯でしたから、ここは粉もんオンパレードと行きたいところ、しかし宿の近くに「旅行支援クーポン」を使える店がなく、全国チェーン店で妥協です。
▲意地で旅行支援クーポンを消化です
明けて最終日は、迷わず阪急箕面線のリベンジを期すことにしました。
早くから桜井駅に馳せ参じると、先日の5132編成がちょうど石橋阪大前に向けて発車。これは迎え撃つしかありません。
▲桜井 2023-1
先日と同じような快晴の下、雪辱を果たしました。諸処更新されているとは言え、阪急顔の2丁パンタ姿はやはり格好良いですね。
▲いずれも石橋阪大前-桜井 2023-1
あわよくば2匹目のドジョウが本線で動いていないかと待ってみるも、そう都合良くはいきません。梅田に戻り、テカテカホームに発着する電車をしばらく観察です。
▲いずれも大阪梅田 2023-1
さて今回最後の目的地は大阪メトロ中央線、狙うは20系です。
先に引退した10系の後輩格で、うーむなルービックキューブ電車・400系に駆逐される形でいよいよ先行きが見えてきました。
地上駅では狙いやすい、とネットにあった朝潮橋で下車。先ずやって来たのは近鉄からの乗入れ車・7000系です。
▲弁天町-朝潮橋 2023-1
吹き曝しのホーム端でしばらく陣取ります。
やって来るのは近鉄車と新参者の30000A系ばかりで、中々姿を現しません。結局、1時間粘って3本だけ、寒さに耐えかねてこれで店仕舞いです。
これにて全て終了、収穫の多さに満足しながら帰途に就きました。
南海も阪急も近鉄もまだ撮り足らない感あり、阪堺モ161にも会いたいですし、あと何度かは関西通いが続きそうです。
一方の商店街巡り、こちらにも徘徊したい対象候補が山積。
何が良くて、わざわざ古くて怪しげな雰囲気に浸りに行くのか、自分でもよく分かりません。恐らくは、小綺麗なカフェや土産物屋が並ぶだけの「なんちゃってレトロ商店街」や映画のセットのような「ナントカ美観地区」などとは全く違う、生活に根ざした空間に惹かれるからでしょう。
しかし、西成の一角に星野リゾートの手になる高級ホテルができたり、商店街には中国資本のカラオケ居酒屋が増殖し、シャッター通り解消に一役買っていると聞きました。色々と問題を抱えつつも、ゆっくりと、しかし確実に変化は起きています。
「この空気感はいつまでも不変でいて欲しい」などと願うのは、余所者による勝手な妄想なのでしょう。
▲山王市場通商店街 2023-1